2010年9月16日木曜日

大塚大輔さんが語るアン・ソンギさん

写真は2009年12月12日に行われた第2回日韓次世代交流映画祭での1プログラム「アン・ソンギ、アン・ソンギを語る」のひとコマです。左から2番目が司会の一人・大塚大輔さんです。

この度、その日韓次世代交流映画祭コーディネーターの大塚さんからご寄稿いただきました。
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「アン・ソンギさんとの出会い」

2009年12月、大分県別府市で開催した「第2回日韓次世代交流映画祭」で、私はアン・ソンギさんのトークショーの司会を務めました。アン・ソンギさんは言うまでもなく、韓国の俳優の頂点に立つ方です。元々メディア・映画業界の人間でもない私がそんな大物と人前で話すなんて… と、決定した9月ごろからずっと不安だったのですが… 途中アクシデントを挟みながらも、なんとかファンの方とアン・ソンギさんとの橋渡し役ができたと思っています。  

私が初めてアン・ソンギさんを知ったのは、高校2年生の頃(1997年)です。 韓国の情報がある雑誌や書籍を読み漁っていた当時、韓国映画にはとにかくアン・ソンギという人の名前がよく出てくる。もうかなりベテランだが、刑事王様探偵でもなんでもなる人だ、そういう印象でした。

大学生になり、初めて見た韓国映画がイム・グォンテク監督の「西便制」、2本目が同じくイム監督の「祝祭」でした。これで動くアン・ソンギさんを初めて見ました。やや優柔不断な中年の小説家役ですね。第1回の映画祭ゲストはイム監督、2回目がアン・ソンギさん。これにはやはり不思議な縁を感じます。

映画祭が始まるまでは、本当に不安で不安で、病みそうなくらいでした。 なぜなら、アン・ソンギさんの映画の外の姿はあまりイメージがなかったからです。つまらない質問をしたらどうしよう…、映画祭がつまらないものだと思われたらどうしよう…そんな心配ばかりしていました。

映画祭初日の夜、開幕式の前に楽屋でようやく「本物」のアン・ソンギさんに対面することになりました。「明日はよろしくお願いします」とあいさつし、「もう温泉には入りましたか?」と質問して、「早速入りましたよ。疲れがす~っと取れるようでしたよ」と気さくに、そして映画の中のあの声、あの身振りで笑顔で答えて下さった時は、今までの心配がすっと流れだすような気持ちでした。ああ、この方は本当に紳士なんだな… と…。

そして何よりも、写真や映画で見るよりも本物はカッコいい!もう、本当にその言葉しか出てこないくらい、スタイルも素晴らしいし、服の着こなしもジャストフィットだ… という感じで、私は「オーラ」という言葉を使うのが嫌なのですが、思わず「オーラが違う…」とつぶやいてしまいました。
 開幕式で、壇上であいさつするアン・ソンギさんを見ていると、「この人に会うために今までがんばってきたんだ…」と思えてきて、少し泣きそうにもなりました(笑)。

映画祭では、トークショーの前後以外に言葉を交わす時間はありませんでしたが、私みたいな急造の司会者に対しても気遣いをして下さったりと、やはり誠実で常に前を向いて生きている方だ、という印象を受けました。そして自分の仕事だけでなく、後輩の動向、韓国の映画界の未来、さらには世界の映画界… と、とても広い視野を持っているんだな… と。

俳優の才能があるだけでなく、やはりこのような生き方・考え方があるからこそ、今のアン・ソンギさんがあるのだと思います。憧れの俳優、というだけでなく、人間として尊敬できる方です。 映画を見るのはもちろんですが、アン・ソンギさんという人そのものをより多くの方に知ってほしいと、映画祭が終わってから思い続けています。  

映画やドラマを見るだけで消費し終わるのではなく、人そのものを知ることで自分自身もより豊かになれるし、アン・ソンギさんはそのような意味では正に理想的な俳優だと思います。またお会いできる機会があれば、ぜひ一緒に温泉に入って語りたいですね(笑)

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大塚さん、想いのこもった原稿ありがとうございます!

大塚さんはK-POP以前の韓国ポップスにも造形が深く、ブログでいろいろとご紹介されています。そちらもどうぞお楽しみください。

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